『FFグランドマスターズ』を作るに至った経緯、またなぜ『FFXI』を題材にしたスマートフォンゲームを作られたのか。お聞かせください。
渕上貴史氏(以下、渕上)
じつは私自身『FFXI』の開発チームにいたわけではなく、『三国志乱舞』や『スクールガールストライカーズ』などのフリーtoプレイ向けゲームを主に手がける部署に所属しています。そこで約3年ほどゲームのプロデュースに携わってきたのですが、いっしょに仕事をさせていただいた開発会社の中に心から『FFXI』を愛してくださっている方が多くいまして。その中で「『FFXI』の”ヴァナ・ディール”という世界でなにかできたらいいよね」という話も多くしていたんです。
それで『FFXI』でなにかしようと思い立ったのですね。
渕上
そうですね。自分が携わっていたタイトルがひと段落したタイミングで次回作について考えたときに、「『FFXI』の世界観でフリーtoプレイのスマホ向けゲームを作りたい」と思い立ち、ダメ元でそれを『FFXI』のプロデューサーである松井聡彦(以下、松井)とディレクターの伊藤泉貴(以下、伊藤)に相談しました。すると快く承諾してもらえたので、『FFグランドマスターズ』の企画の検討を始めました。
ということは、先日発表された”ヴァナ・ディールプロジェクト”ありきの企画ではなかったと?
渕上
はい。これは本当にたまたまですね。私が松井と伊藤に『FFグランドマスターズ』の話をしたのと、ネイティブアプリ版の『FFXI』のプロジェクトが始動したタイミングが偶然一致しただけなんです。ただ、『FFXI』も14年目を迎えようとしている時期なので、もしかしたら松井の中では何かしらの構想はあったかもしれないですが(笑)。
渕上さんご自身が『FFXI』のネイティブ版を開発しようと思ったことはありましたか?
渕上
正直、なかったですね。これほど大きなタイトルなので、『FFXI』のネイティブ版となると実際どのようなものを作ればいいのかイメージも湧きませんでしたから。
となると『FFグランドマスターズ』は、どういった発想のもと生まれたものなのでしょうか?
渕上
いまでこそ“『FFXI』の世界観を、スマホで気楽に且つ、MMOらしい遊びが楽しめる”といったコンセプトがありますが、当初はこの世界観でGvG(正式名:Guild vs Guild。プレイヤーの集団と集団が戦うシステム)をベースにしたゲームを作れないか、というのが、まず第一にありました。ブラウザゲームの時代はGvGのコンテンツが多くあったと思うのですが、ネイティブでGvGを取り扱っているものは割と少ない。それもあってGvGを主軸にしたコンテンツを考えていました。
GvGを選ばれた最大の理由は、市場規模を考慮した結果ということでしょうか?
渕上
もちろん、自分自身が、そうしたゲームを好んで遊んでいたというのもあります。それに加えて、スクウェア・エニックスのスマホアプリ全体、ひいては『FF』アプリでもそうしたみんなで協力して遊ぶタイトルがそんなになかったのも大きいです。なのでGvGを主軸に置いたゲームでもいけると判断していました。企画当時のイメージを簡単にお話しすると“『FFXI』の世界観で、みんなで協力できるタイプのゲーム”という感じでした。自分自身、例えば『FFブリゲイド』をかなりプレイしていましたし、みんなで協力するタイプのゲームが好きなんですよ。
渕上さんにとって、ユーザー間のコミュニケーションは重要なものだったのですね。
渕上
プレイヤー間のコミュニケーションが取れるものって楽しいんですよね。2015年3月にサービスが終わってしまった弊社のPCブラウザゲーム『モンスタードラゴン』の開発運営に関わっていたことがあるのですが、その中で、みんなで遊べるゲームの楽しさを改めて実感しました。その経験が根底にあるのも大きいです。
次回に続きます。
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